海辺の町に、誰も見ぬ影が立つ。
かつて世界を救い、すべてを忘れられた巨人。
人々は祈りを捨て、彼の名も消えた。
けれど、一人だけがその存在を覚えていた。
少女は幼き日の記憶に生きる。
嵐の夜、救ってくれた蒼い眼差し。
誰にも語れぬ想いを、胸に秘めたまま。
彼女は今日も、海を見つめる。
声にならない祈りを、波に託して。
巨人は応えない。ただそこに、いる。
触れられず、呼べず、
ふたりの距離は永遠に埋まらない。
それでも、彼女は待ち続ける。
忘れられた者どうし、
名もなき愛だけを信じて…


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